シマアジの鮮度
私が小学生のころ、学校給食で出てくるサバのから揚げの餡かけが嫌いだった。実際まずかったのだと思う。しかし、大人になって食べると、サバはうまい。これは大人になって味がわかるようになったからではない。私が成長する間に、魚の流通技術が大きく変わったからだ。冷凍食品の普及は1960年以後だろうし、それに並行する方とで、生魚の鮮度保持・流通技術も変わってきて、様々な温度帯で鮮度を輸送したり保存したりすることが可能になっているのだと思う。鮮度保持は魚の流通にとって、重要な技術だ。最近では、流通技術だけでなく、神経〆など、鮮度の保持を目的とした漁獲後の魚の処理法にも様々な工夫がなされている。その一方で、スーパーなどの販売の場面では、鮮度の良さを強調するような販売法は、あまり見ない。また、消費者が実際、魚の鮮度をどのくらい見分けることができて、鮮度にどのくらいの価値を認めているのかも明確ではない。鮮度保持の技術は、実際には魚の商品としての価値を作り出していないかもしれない。そうだとすれば、鮮度保持技術の導入は無駄な投資になる。
神経〆した養殖シマアジと野〆にしたシマアジの鮮度の違いを、消費者が見分けられるのかという、実験をした研究の結果が論文として発表された。結論だが、シマアジの場合、死後硬直ぐらいの段階の、鮮度の良いシマアジでは、野〆でも神経〆でも、消費者が感じるレベルでは、鮮度に違いはない。しかし、時間がたつと、神経〆の方が、鮮度の保持が良いということらしい。
詳細な情報が欲しい場合は、以下の論文を参照
https://www.jstage.jst.go.jp/article/suisan/advpub/0/advpub_24-00020/_article/-char/ja/