Hunet ASA通信

水産分野における国際協力について

 

Hunet ASAの会員になりませんか。

 

Hunet ASAの会員になっても得なことはありません。損をするかもしれません。いえ、金銭的には確実に損します。その代わり人生の楽しみは増えます。仕事だけでは楽しくない。あるいは、老後のためにも何か楽しみを見つけておきたい。かといって、自分のあまり得意ではないことまでやりたくないし、今更趣味を見つけるのも大変だ。そういう人へのお誘いです。

 

会員の特典と言っても大したことはありません。Hunet ASAが集めた寄付金の中から、ご自分の活動に対して資金を援助してもらえるというだけです。それも、かなり少額です。ただ、小さな金額でも使い方に制約がないからとても使いやすいのです。対象となるのは、国際協力とか途上国の研究者への援助です。いまのところ、水産・海洋関係が多いのですが、それは、現在の会員のほとんどが水産関係の人だからです。もっと対象領域を広げても良いと思っています。私たちは、私たちのやり方が、国連機関、世界銀行、アジア銀行、大きな国際的NPOなどが行う開発援助などよりも、少なくとも部分的には、はるかに効果的な援助になると思っています。もちらんだからといって、世の中から高い評価を受けるということでもありません。勲章なんかとてももらえません。誰も知らないが、小さな投資で他人にはできない大きな成果、これが、知る人ぞ知るひそやかな楽しみなのです。

 

感覚的には、近代兵器で物量を投じて組織された大部隊に対して、吹矢とか手裏剣とか、前近代的兵器でいかに戦うかという、マニアックなゲームなのですが、実戦ですからかなり面白い。

 

決まった形があるわけではありません。現場での創意工夫でどんなことでもあり得ます。具体的な例を挙げてみます。「Hunet ASA通信」に載せた、Pinamuk-anのウシエビ放流による資源回復と漁村振興の例です。

 

この話は、Hunet ASAの会員が加わっていたウシエビ放流の放流に関するプロジェクトが、十分な成果を上げないうちに終了してしまったということに端を発します。プロジェクトは放流効果の実証というところまではうまく行ったのですが、地域の漁業者による事業の継続というところまでは至らなかったのです。地域の漁業者自身による放流、漁業者自身による資源管理や環境保護、さらには、水産物の市場開発や加工技術の導入などにつなげていくという大きな構想でした。当然のことだけれど、5年間の研究期間ではそこまでいきません。何とか資金を獲得して次のプロジェクトにつなげなければなりませんが、中断してしまうと、せっかくボランティアとして技術を習得した人たちも離れてしまい、今までの努力が無になってしまいます。良くあることですが、またゼロからの構築ということになります。とにかくそういう状況にありました。Hunet ASAがプロジェクトを継続できれば良いのですが、貧乏NPOのことです。どう考えてもそんな大金はHunet ASAにありません。やれることは、活動を細々とつづけ次の資金獲得を手伝うことしかありません。

 

そういう状況で、ウシエビ放流のプロジェクトに参加していたHunet ASAの会員が、定年退職しました。大酒のみで、大した専門性もない彼には再就職の道がありません。彼の不徳の致すところです。そうでなくても、昔のように天下り先が用意されてということもありませから再就職は大変です。いままでそれなりの経験をしてきたから、その経験も生かしたいし、もう人のために働くのは嫌だから、自分の思うとおりの仕事がしたいというわがままな気持ちもあります。ちょうどその時、現地の大学から、研究・教育の高度化をしたいので、アドバイザーを探している。ただし、お金は払えないという話があったのです。フィリピンならばマニラから現地への航空券代を含めて、往復、7-8万円あればいけます。現地での生活費が必要ですが、現地の人並みの生活をすれば、いくらもお金はかかりません。宿泊費代だけ何とかすれば、年金をお小遣い代わりにして十分やれます。ということで、無給でアドバイザーを引き受けたら、現地の宿泊は大学の施設を提供してくれることになりました。さらに、別の研究プロジェクトにも参加していたので、自己都合で現地に事前にいるということにして、旅費の半分をそちらのプロジェクトで負担してもらいました。旅費を自己負担にしても、実際にほとんどお金はかからなかったのです。これを足掛かりにして、放流事業の継続のための戦略を展開しました。当初、次のプロジェクトの採択にこぎつけるのは2,3年かかると考えていました。この間、細々と、年に1回ぐらいウシエビの放流を行い、放流効果の追跡と社会調査を継続するというやりかたです。一方で、現地の大学をコアにして、放流を主要な課題を一部に含むプロジェクト提案を、フィリピン政府を含めていろいろなところにしていくという戦略でした。プロジェクトの提案書ならば、現役時代にいくらでも書いていますし、参加メンバーもいくらでも集められます。現地の大学にとっては、強力な助っ人として活躍できます。費用は、年間20-30万円かかりますが、無職の身ですから、これを個人として負担するのは大変です。しかし、この程度ならば、Hunet ASAの資金でも賄えます。ここをHunet ASAにカバーしてもらって、最小の費用で、わがままに、自分が持っている能力を最大限に生かすということを考えたのです。

 

幸いこの例では、案外、簡単に継続プロジェクトを立ち上げることが出来ました。しかも、放流技術の基礎的な研究と社会的な影響の調査はSEAFDECが中心になってやることになります。事業の拡張部分、つまり、放流だけでなく、漁業者による資源状態の把握、環境のモニタリング、新事業の展開、マーケティング、商品開発など、本来、プロジェクトが掲げていた最終的な目標の部分は、地域の大学が担当します。これだけでも億に達する経費が掛かるでしょう。一方、Hunet ASAとしては、今後は、地域の漁業者の啓蒙や、プロジェクトのマネージメントのようなところで、若干のお手伝いをすればよいだけなので、費用はほとんどかかりません。実際、2017年にかかった費用は、放流をしなかったので、10万円以下でした。もしこのプロジェクトが、計画通りに進行していけば、地域の漁業者によるボトムアップ的な、資源管理と環境モニタリング、漁業振興の世界的な成功例になります。その影響は計り知れないでしょう。ものすごく高い投資効率です。世の中の人は知らないが、私たちの努力とHunet ASAからの少額の資金援助が決定的に重要な役割を果たしています。そこのところが、ひそやかな満足と楽しみなのです。また、実際、現地の研究者や漁業者と様々なことを話して、計画を練っていくのは楽しかったし、新たな人間関係も出来ました。

 

これは、定年退職した会員の例ですが、現職を持っている会員でも、様々なHunet ASAの利用が考えられます。たとえば、海外調査の時に、現地の社会開発的なことと並行してやった方がうまくいくし無駄がない。もっと成果が上がると思うことはありませんか。しかし、研究費を社会開発の費用に使うのは、研究費の目的外使用で犯罪です。目的は手段を正当化しません。かといって個人的に資金を提供するのは少し負担が大きい。そういう場合に、Hunet ASAの資金を使えば、何かが出来ます。効果的・効率的にプロジェクトが進められたり、プロジェクトを社会開発に有効に役立てることができます。

 

年会費を払って、会員登録をしていただくだけで、その可能性が広がります。現在、何か差し迫った課題がなくても、将来にそなえて、会費を払って会員になっておくというのは、ひそやかな楽しみのために将来への投資として有効だと思います。実際に自分でそんなことをしなくても、他の会員の活動を知って、アドバイスをしたり意見を述べたり、有効だと思う情報を提供したりできます。また、Hunet ASAへ資金を提供してくれる方、寄付者を探すのも重要な活動です。これらが有効に機能して結果が得られます。活動報告を読んで、あのアイデアは自分が提供したものだと思ったり、その資金は自分が獲得したと思ったりすることにもひそやかな楽しみになります。今のところ寄付しても、税金の控除の対象にはなりませんが、ユニセフに寄付するよりは、ずっと実感があって楽しいことになります。

 

会員は、今のところ大学の教員、国際開発の専門家などが多いのですが、興味があれば、民間会社の方、公務員の方も大歓迎です。会員になって、是非、お持ちの知恵を提供してください。主婦の方ももちろんOKです。

 

入会の方法

連絡先:HunetASA事務局(hunetasa39@gmail.com)

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